雑学大典 -59ページ目
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聖人って何だ?

キ教ネタ連発で。
昨日「ザビエルは聖人」と書きましたが、
そういえば「聖人」って、
何なのか、よく知らない。
なんとなく、カトリックが認定するもの、
という気がする。
聖人よりエライ位はあるのか?
聖人にもランクがあるのか?
奇跡を起こしていないとダメ、
とか、そういう基準でもあるのか?

 カトリック教会では、中世以降、
 教えのために身を犠牲にした殉教者など、
 伝道に英雄的な徳行があった人物を
 審査して聖人saintに列せしめている。
 「福音書」関係のマタイ、マルコ、ルカ、
 ヨハネや、「書簡」の筆者のパウロ、
 ペテロら聖書関係の人たち、
 アウグスティヌスやトマス・アクィナスらの
 宗教思想家、修道院の聖者フランチェスコ、
 東洋伝道のザビエル、またバレンタインデー
 のバレンティヌスや、1597年に日本で
 殉教した26人も聖人に名を連ねている。

ふうん。
審査基準がよく分からないみたいだけど、
少なくとも奇蹟は不要みたいだな。
むしろ「伝道」と「殉教性」がポイントか。
かなりエライ人も入っている。
十二使徒も含まれるんだね。
こういう基準も難だけど、メジャー度には、
かなりのばらつきがありそうですが。
日本で殉教した26人って、ローカルだよね。
人間としては最高位ってとこかな。
ランクに関する記述は無し。無差別か。

まあ、殉教ってのは、どえらいことです。
軽く書きすぎたかな。
真面目に合掌しておきましょう。

……

なお、岩波文庫で
「クオ・ヴァディス」という小説が出てます。
暴君ネロによるキ教大迫害を書いている。
けっこうミーハーな興味をそそるのは、
ペテロやパウロが動いてる! 喋ってる!
という所ですね。いやあパウロさん渋い。
ちなみに、主人公は若い貴族ウィニキウス。
リギ族の王女リギアと大恋愛するんです。
ところがリギアはキリスト教徒で、
ネロに捕まってしまい……ドッキドキだね。
ウィニキウスの叔父のペトロニウスが
格好良すぎです。惚れます。

←へぇぼたん。

人生いろいろ。キ教もいろいろ。

昨日はザビエル論争に終止符を打ちましたが、
ローマ法王の健康問題も取り沙汰される昨今。
もう一発、キ教ネタでいきましょう。

キリスト教にも宗派があることは、
世界史の教科書に色々出てくるから、
皆様、御存知ですよね。
カトリックとプロテスタント。
あと、よく「ギリシャ正教」というのを
聞きますよね。
これが、どうやらキ教三大会派らしいです。
他にもコプト教とか、
分派・異端の類もあるようですが……

カトリックは「普遍的」という意味だと
以前聞いたことがあります。
「全世界を救う人類普遍の教会だぞー」
ってなところですね。
一方プロテスタントは御存知の通り。
「抗議する」とか何とかいう意味らしい。
カトリックの腐敗に抗議する宗派ですね。
(今ではそこまで仲は悪くないようですが)
ギリシャ正教は?
これは英語では「オーソドックスチャーチ」
まあ、正統教会、ってなところですか。

それはいいんだけど。
ふと気になった。そういえば、
「ロシア正教」とも言うな。
「アルメニア正教」とも言うぞ?
「セルビア正教」もあった!
セルビア人は正教会。
クロアチア人はカトリック。
それでムスリムも加わって、
三つ巴の闘争を繰り広げた。
それがユーゴ内戦の重要な側面でした。

カトリックは「ローマカトリック教会」
それだけなのに、
なんで正教はいろいろあるんだ?

 「東方正教会」
 キリスト教三大教派の一つ。
 日本ではギリシア正教または単に正教とも。
 広義の東方教会は、のちに中国へ入り景教と
 よばれるようになるネストリウス教会や、
 キリスト単性論とみなされるアルメニア教会、
 エジプトのコプト教会、エチオピア教会など、
 キリスト教の異端グループを含む。しかし、
 東方正教会という場合は狭義の東方教会、
 すなわち、中東、東欧、ロシアを中心とする
 18の自立教会の連合体をいう。わが国では
 東方正教会は、他の二大教派と比べて一般に
 なじみが薄い。だが、東方正教会は元来、
 古代教会の伝統を受け継いでおり、
 原始キリスト教の精神をよく伝えてきた。
 古代教会はローマ帝国に発生し、全教区を
 エルサレム、アレクサンドリア、
 アンティオキア、コンスタンティノープル
 (現イスタンブール)、ローマの
 五大総主教区に分けた。
 そのうちローマ教会だけが11世紀に他から
 分離し、以来ローマ・カトリック教会として
 発足した。他の東ローマ(ビザンティン)
 帝国内の諸教会は東方正教会とよばれる
 ようになった。のち、15世紀なかばに
 ビザンティン帝国がオスマン帝国に滅ぼされ
 かわってロシアが東方正教の大国となった。

え? アルメニアは異端なの?
「アルメニア正教」というのは、
正確には間違いなのかな。
まあ、異端というのは回りが言うことで、
アルメニアのキリスト者に言わせれば
うちだって立派に正統だ、と言うだろうけど。

そして、18の自立教会の連合体……
どおりで、いろいろあるわけだ。
なお、驚きましたが18のうちには
日本も含まれるそうです。おやおや。
カトリックの方は、
極東の中心はフィリピンだと聞いています。

ちなみにアルメニアは黒海とカスピ海の間。
隣国は西にトルコ、南にイラン、北にグルジア
それに東と西にアゼルバイジャンだそうです。
私は「バルカン半島?」とか考えてしまった。
不覚だ。
あのへんって、こんがらがりますよね。

←へぇぼたん。

ワトソン君知っているかね

今日も本を読んでいて、ふと疑問。
「アリバイって何語だ?」
和製語か?

 「アリバイ」alibi
 被疑者または被告人が犯罪の行われた当時、
 犯行現場にいなかったという証明。
 不在証明、現場不在証明ともいう。
 英米法系においては、現場不在の立証がなされた場合、
 被告人が犯罪を実行しなかった事実の証拠となる。
 日本の訴訟法では、アリバイを主張することは
 犯罪事実の否認にすぎず、特別の効果は認められていない。
 しかし無罪を推定させる有力な情況証拠であり、
 捜査、公判審理を通じて慎重な検討が必要とされる。
 〈大出良知〉

ほう、予想に反して立派な英単語だ。
とてもアングロサクソン語とは思えない響きですが。
法学用語となると、ラテン語起源かな。
法というものが整備されたのは、
欧州史上ではローマ法が最初なので、
法律用語にはローマの言葉=ラテン語が多いんですよね。
それに、中世を通じて学問といえばラテン語でしたし。

ついでに、もう一つ気になった言葉を。

 「アジト」
 非合法活動などの秘密指導本部やその活動家の隠れ家。
 英語のagitation pointまたはagitation station、
 ロシア語のагитпункт/agitpunktなどから
 出たことばで、大正時代に社会主義運動が活発化
 するとともに定着した。なお、アジテーションは
 理性よりも感情に訴える方法で民衆を行動に
 立ち上がらせることをいう。
 〈宇田敏彦〉

なるほど。
非合法っぽい単語には、ドイツやロシアが多いですね。
もちろん、左翼過激派の流れがあるからです。
マルクス主義の理論書はマルクスの母語であるドイツ語、
実践は、ソビエトでロシア語で為されましたから。
あと「コンパ」なんてのもロシア語だそうです。
それに、学生の挨拶「チュース」ってのは本来、
決して「ちわっす」を曖昧に発音したものではなく、
ドイツ語の仲間内の挨拶だとか。

アリバイにアジト、となると、
何の本を読んでいたか分かっちゃいますね。
レポートの課題で、推理小説を読んでいました。
たまに読むと、けっこう面白くて、ハマっちゃった。(笑)
レポート書かないといけないんだが……

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帽子かハゲか、ザビエル論争

小説の登場人物が、ベレー帽をかぶっていたんですが。
「ベレーって、語源は何だ?」
気になったので、いつもの百科事典で調べました。

 フェルトやビロードなど柔らかい素材を用いた縁なし帽。
 頭にぴったりするよう、
 かぶり口の裏に革や布テープがついている。
 イタリアで丸い布の縁を、
 紐などで縮めて頭にあわせかぶったのが最初といわれるが、
 カトリック僧の堅い帽子birettaが原型とも考えられる。
 中世に僧侶や兵士がかぶった小型の帽子バレットbarretや、
 14世紀の縁なし帽バレットbarret, barretteから変化した語。
 一般に普及しているのは、フランスとスペインの間にある
 バスク地方の農民がかぶったバスクベレーである。
 また軍帽のキャップ型のものをいうときもある。
 〈浦上信子〉

じゃあbirettaや
barret、barretteの語源は何なんですかね。
帽子の名前を帽子の名前で説明されても、
ちょっと、欲求不満が残ります。

それはそうと、
キリスト教の風俗とかって、意外と知らないんですよね。
歴史の教科書なんかで、見ることは多いのに。
やっぱり、いちばん気になるのは、
「ザビエルの頭」じゃないですか(笑)

これは私の知識ですが、あれは剃髪です。
カトリックにも、頭頂部だけ髪を剃る習慣があるんですね。
英単語も、ちゃんとあります。

 tonsure(タンシャー)
 〔キリスト教〕(聖職者になるための)剃髪,トンスラ,剃髪式.
 (ジーニアス英和・和英辞典 大修館 引用者が多少編集)

それを指す単語がある、というのは、
その言葉が表すものが、
文化の一部として定着していることの、
ひとつの指標だと思います。

あ、関係ないですが、ハゲは良いですよ。
一度やったことがあるんですが……とにかく楽です。
前髪が邪魔になることもなく、夏には涼しいですし、
風呂に入っても、石鹸でくりっと撫でて、
タオルでポンポンと拭けば、ケア完了。
高いシャンプーもドライヤーもいらない。
ただし周囲から引かれますけど。
顔が淡白な人は、ハゲで決まりだと思います。

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ぶりっこ。

ししゃもについて調べたときに、
ついでだからブリについても調べてみた。
ブリは、成長につれて呼び名が変わるので有名な魚です。
でも、その名前をぜんぶ言える人はどれくらいいるかな?

 『ブリ』
 硬骨魚綱スズキ目アジ科に属する海水魚。
 古くから日本人に親しまれてきた魚で、
 文献上は500年前の室町時代・明応年間(1492~1501)に
 ■(はまち 漢字が出ません! 魚に反です 引用者註)
 という名で、すでに現れているという。
 この人間生活との深いつながりは出世魚として、
 各地で多数の呼び名を残した。

最後の2行が、なんか日本語として変みたいだけど、
気を取り直して。

 おもな呼称は、
 15センチ以下をツバス、モジャコ、ワカシ、フクラギ、
 40センチ前後をイナダ、メジロ、60センチ前後がワラサ、
 あるいは15~50センチ級をハマチ、
 これ以上をブリとするものである。
 体重12キロ以上で背部が黒みを帯びたものを
 特大ブリとして区別することもある。

むむむ?
たしか、もっと分かりやすい
順番に並んだ名前を聞いたことがあるような?
ここはネット検索だ。ありました、ありました。
九州大学 大学院システム情報科学研究院
牧之内 顕文(まきのうち あきふみ)教授。
名付けて「出世魚プロジェクト」!
http://www.db.is.kyushu-u.ac.jp/fish/old/buri-j.html

 ブリの呼び名は成長に応じて変わり,
 呼び名は地方によって違う.
 実際には百近い地方名がある.
 各地の主な<成長名>は次の通り.

 関東:ワカシ・ワカナゴ→イナダ→ワラサ→ブリ
 関西:ワカナ・ツバス→ハマチ→メジロ(イナダ)→ブリ
 北陸:ツバエリ→コズクラ→フクラギ→アオブリ→ハナジロ→ブリ
 山陰:ショウジゴ→ワカナ→メジロ→ハマチ→ブリ
 九州:ワカナゴ→ヤズ→ハマチ→メジロ→ブリ→オオウオ

私が以前聞いたのは、関東バージョンに
ハマチとメジロをつっこんだようなものでした。

ところで、いつもお世話になっている百科事典ですが、
「ブリ」の項目には、一般論に続いて、
形態、生態・生活史、漁業、養殖、
食品、民俗などの小項目があるんですが、
最後に「釣り」っていう小項目があるんですよ!

 「釣り」
 幼魚期のワカシは、相模湾の乗合船が寄せ餌と
 サビキ仕掛けで夏に釣る。
 イナダ級が混じりだすと、鉤に魚皮を巻いた
 カッタクリ釣りとよばれる手釣りと、
 サビキ釣りの二本立て。
 カッタクリ釣りは、段差をつけるように道具をたぐる。
 胴づき2、3本鉤に生きたヒシコイワシをつけても釣るし、
 イナダからワラサ級を対象にした
 擬餌鉤を使ってのトローリングもある。
 また、ワラサからブリに近い大形魚は、
 生きたイカ一杯を餌にしてねらったりもするが、
 この場合、早合わせは禁物で、十分に食わせてからあわせる。
 和歌山県紀伊地方の乗合船は冬にワラサ、ブリをねらうが、
 この釣りは、錨で船を漁場の好場所に止め、
 竿とリール、ウキ仕掛けで、俗にカカリ釣りとよばれている。
 餌は脂ののったサンマのぶつ切り、
 寄せ餌もサンマを細かく切ったもの。
 釣期の開幕前に漁場に大量の寄せ餌を投入、
 魚のつき場を人工的につくりあげる釣り方である。
 なお、海岸からのサーフトローリングで
 イナダ級を釣ることもある。〈松田年雄〉

この松田さんって、何者なんだろう……

アイヌ語。

ししゃもって、なんだ。
節分の日にイワシの話をしていて、
「今日買ってあるイワシはししゃもくらいの大きさだ」
と母が言うので、
ふと気になった。ししゃもはイワシとは違いそうだが、
一方で小さい魚は何でもイワシのような気もする。
我ながら無茶苦茶だ。

すかさず、百科事典のお出ましである。

 『ししゃも』
 硬骨魚綱サケ目キュウリウオ科に属する海水魚。
 語源はアイヌ語。一説はススハム、ススは柳、ハムは葉で、
 アイヌ人は柳の葉の化身と考えた。
 他説はスサムを語源とし、スはナベ、サムはすぐそばで、
 ナベを火にかけてから、
 近くの川で取り上げて料理する魚を意味する。

ふうん。アイヌ語だったとは。
葉っぱが水に落ちて魚になるという発想は、
西洋中世にもありましたね。
ちなみに先日知った事ですが、
ラッコもアイヌ語だそうです。
英語はシーオッター。「海イタチ」ってな意味ですね。

 『イワシ』
 硬骨魚綱ニシン目に属する海水魚のうち、
 マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシの総称、
 またはこれらの近縁種を含めたものの総称。
 ときにはマイワシだけをさすこともある。
 これらの魚種は、一般に漁獲量も多く、
 日本の水産上重要な種類であるばかりでなく、
 魚をはじめ多くの海産動物の天然餌料として、
 海の生態系で重要な役割を果たしている。

大事なんです。イワシ。
おっと、マイワシについてこんな記述も。

 成長につれて呼び名が変わり、
 3.5センチメートルまでがシラス、
 9センチメートルぐらいのものを小羽(こば)イワシ、
 12センチメートルぐらいのを中羽(ちゅうば)イワシ、
 16~18センチメートル以上を大羽(おおば)イワシという。

「シラス=マイワシ」ってことですね!
シラス干しはイワシなんですね!
と、思ったら。カタクチイワシについてこんな記述が。

 鮮魚、塩干品(煮干し、田作り、稚魚のしらす干し、
 たたみいわしなど)として食用にされる

なに?
シラス干しはマイワシじゃなくてカタクチイワシなのか。
この様子だと、カタクチイワシの稚魚もシラスなんですね。
むしろ白っぽい小さい魚は、
昔はぜんぶシラスと呼んでいたのかな。

ちょっと賢くなった。

緊張すると……

今日読んだ哲学論文より。
スピーチをしていて緊張したとき、英語話者は「uh....uh....」と言うんだそうです。
ドイツ語話者は「also....also....」って言うんだって。「あるそ」と読むのか?
間投詞にしては長すぎるぞドイツ人。
さすが単語が長いドイツ語。間投詞も地味に長い。
そしてハンガリー人は……書けない。「o」の上にちょんちょんがついたヤツ。
読み方も分からない。っつーかなんでハンガリーが出るんだ哲学者。フランス語は出ないのに。
まあ、G7の言語を網羅しなきゃいけないという理由はないんですけど。

そしてロシア人のことも書いてあるのだが……
「呼吸の合間にただ聞き取れるばかりの声でぶうぶう唸る」
"produce a series of just audible grunts under their breath"って……

ぶうぶう? なんだそりゃ?
でも、英和辞典にはそう書いてある。

「grunt」
動詞
1 〈ブタ・ラクダなどが〉ブウブウ鳴く;〈物が〉ブウブウ音を立てる
2 〈人が〉ぶうぶう言う,不平を言う.
名詞
1 (ブタ・人の)ブウブウいう声[不平].
2 《米》〔魚〕イサキ《◆陸に揚げた時ブウブウ鳴く》.
3 《米俗》(ベトナム戦争時の陸軍・海兵隊の)歩兵.
4 《米俗》[おどけて] プロレスラー《◆おおげさにうめくことから. grunt-and-groanerともいう》.
(『ジーニアス英和・和英辞典 株式会社大修館』より。一部省略)

あまり格好いい言葉ではないようです。もとは豚のぶひぶひ。
ロシア人って一体……
文化によってこんなに違う。ひとつお利口になりましたね。

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