雑学大典 -2ページ目

カツレツって一体何事か


昔、英語の授業でO・ヘンリーの『賢者の贈り物』を訳したんですが、それで非常に気になった部分がありました。『賢者の贈り物』はクリスマス・イヴの晩に互いにプレゼントを買うお金のなかった若いカップルのお話ですが、その最後のくだり、男性が女性に「いやはや、まあ、とりあえずカツレツを焼いておくれハニー」みたいなことを言うんですね。それを読んで、松尾少年は激しい違和感を覚えた。

 カツレツって!

明らかに、クリスマスの夜に貧しいカップルが、それでも愛情一杯ハートまみれになって食うものではないわけです。むしろ揚げ物大好きソース大好きな、そして昼食に躊躇せず1000円近く払えるエスタブリッシュな方々が、食べるものな気がするわけです。
これはどうも、文化の違いがある。アメリカ人はクリスマスの晩にパン粉を付けて揚げた肉を喰うのか? いやいや、これは「カツレツ」という語が表す料理の内容が違うのでしょう。貧しい二人が塊肉に卵やらパン粉やらを付けるような凝った料理を食するとは思われないのです。(それに、たしかオーブンで焼いておくれと言っていたし)

では、ウィキペディアで調べましょうや。

 「カツレツ」
 カツレツとは食材を小麦粉、溶き卵、パン粉などの衣で包み
 食用油脂を用いて加熱した料理の日本における呼称。
 (中略)
 cutletという単語は単に肉の小片、あるいは各種の食材を
 混ぜ合わせて成型した料理を指すものであり、決してパン粉の
 衣をつけて油で揚げるという調理法を意味するものではない。
 このため諸外国ではオーブンで焼いたり衣をつけずに炒める
 などした肉料理がcutletと呼ばれている場合もある

うむ。やっぱり。どちらかと言えばハンバーグに近いものかな?
肉だけでなく混ぜ物をするあたり、貧しい二人っぽい。
(余談ですがステーキよりハンバーグの方が好きなワタクシ……)

なお、日本のカツレツについては以下の通り。

 関東におけるカツレツについては、1890年(明治23年)に
 銀座のレストラン『煉瓦亭』が考案したとされている。
 その後煉瓦亭から広まったポークカツレツはその後独自の
 進化を遂げ、とんかつと呼ばれる新しい和食へと発展、
 また数多くの派生料理を生むこととになった。カツレツの
 技法は、串カツやエビフライ、本来は異なる種類の料理で
 あるコロッケなどにも応用されていった。

 英語のcutlet( "t" の音は非常に弱く発音されるため、
 日本人の耳にはカレあるいはカッレッと聞こえる)が
 カツレツと呼ばれるようになった理由は、促音を小さく
 書かない旧かな表記法の誤読であろうと想像される。

衣を付けて揚げる調理法は、日本での創案と言って宜しい、のでしょうかね。
このウィキペディアの記事、「要出典」表示が出ていたりと、ちょっと不安もある記述なのですが。

お菓子のパッケージのメダルマーク

そういえば昔から気になっていたんですが、お菓子のパッケージに、なにやらエラそうなメダルマークが印刷されている事がありますよね。「ギンビス アスパラガス」とか。よく見ると「モンドセレクション金賞受賞」とか書いてある。ん? そういえば「ザ・プレミアムモルツ」は「モンドセレクション最高金賞」ではあるまいか。
それは、一体、どれくらい凄いのだ?
ちょっと長いですが、ウィキペディアを引用します。

 モンドセレクションとは、世界的に権威のある食品品評会
 のことである。世界食品オリンピックと訳されることもある。
 1961年ベルギー政府と当時のEC(現在のEU)が共同して、
 菓子を中心とした食品の品質向上を目的として始まった。

 審査・運営は民間団体が行っており、原則、審査料を払って
 エントリーしたものに対して審査が行われる。エントリー先は
 かなり細かくカテゴリ分けされており、その申請カテゴリ内
 での受賞となる。食品のノーベル賞とも称せられるが、
 エントリーしていないものについては審査対象外であるという
 点などが異なる。審査基準は、衛生、味覚、包装、原材料等の
 項目。それぞれを点数化し、総合得点に応じて特別金、金、銀、
 銅賞(メダル)が出品者(企業)に授与される。

 100点満点の95点以上で特別金(グランドゴールドメダル)
 85点以上で金(ゴールドメダル)
 75点以上で銀(シルバーメダル)
 65点以上で銅(ブロンズメダル)

 金賞以上となると至難の業であり、3年連続して金賞以上を
 受賞すると、別途、国際優秀品質賞が授与される。

「金賞以上は至難の業」だそうです。ふーむ。そうなのか? しかし、それにしてはしょっちゅう見るような……
と、思ったんですが、やっぱり凄いんでしょうね。それというのも、お菓子なんて毎年数えきれないほどの新製品が登場するのに、後々まで残っていく商品はほんの一握りだそうです。しかし、たとえば僕が例に挙げた「ギンビス アスパラガス」なんて、一体いつからあるのだろう。それでいて、未だにまったく廃れていない現役バリバリのお菓子売り場の定番、懐かしのお菓子にされてしまっているという事もない。

 2005年現在、酒類をはじめ食品以外(化粧品、洗剤、塗料
 等)にも拡大しつつある。日本では、1966年から日清製菓の
 バターココナツが国際優秀品質賞(3年連続金賞)を受賞し、
 パッケージにメダルのデザインが表記されたことから一躍
 有名になった。
 (中略)
 特別金賞については「最高金賞」と訳する企業もあり、最近に
 なって、日本企業もこの賞を受賞するところが出てきた。

その「最高金賞」という訳を使っている「ザ・プレミアムモルツ」は、ウィキの記述では以下の通り。

 2005年に「ザ・プレミアムモルツ中瓶」でモンド
 セレクションの「ビール部門グループI」で国産ビール製品初の
 最高金賞を受賞。以後2007年現在3年連続して最高金賞を
 受賞している。

グランドゴールドメダルのみで三年固めた「国際優秀品質賞」ですね。見事なものです。

ボロネーゼはパスタです……

先日、ショパンの作曲した「英雄ポロネーズ」と呼ばれる楽曲について調べていたのですが、途中で「あれ? ポロネーズ? ポロネーゼ?」とごっちゃになりまして。
結論を言うと日本語のカタカナ表記は「ポロネーズ」であり、それはフランス語で「ポーランド風」を意味する(by wikipedia)らしいのですが、「ポロネーゼ」は「ポロネーゼ」で、そういう名前のものがあったような気がする。むむ? と調べてみました。

……正しくは「ボロネーゼ」ですね。
最初の1文字が半濁音(ホに丸)ではなく濁音(ホに点々)です。
そして、それは料理の名前ですね……スパゲティの種類としてお目にかかることが多いです。

 ボロネーゼ(イタリア語)またはボロネーズ(フランス語)は
 イタリア・ボローニャを発祥とする肉とトマトを主な材料と
 するソースである。日本ではミートソースと呼ばれることが多い

ボローニャ風、の意だそうです。

なお、これで分かりましたが「○○風」がフランス語だと「ズ」で終わり、イタリア語だと「ゼ」で終わるんですね。だったら、イタリア系で音楽を勉強した人は、楽曲を「ポロネーゼ」と言っちゃったり、するんじゃないんですかね?
よく分かりませんが……

ショパンの「英雄ポロネーズ」モデルは?

音楽家・ショパンの楽曲に「英雄ポロネーズ」というのがあります。よく耳にする、有名な曲です。
で、ふと思ったわけです。「英雄」って、誰の事だ?

ナポレオン? という答えが頭をよぎったのですが、違う気がする。ナポレオンについてはベートーベンが「英雄」と題する楽曲を作っておりまして……

 フランス革命後の世界情勢の中、ベートーヴェンのナポレオン
 ボナパルトへの共感から、ナポレオンを讃える曲として作曲
 された。しかし、完成後まもなくナポレオンが皇帝に即位し、
 その知らせに激怒したベートーヴェンはナポレオンへの献辞の
 書かれた表紙を破り捨てた、という逸話がよく知られている。
 もっとも、幾分か伝説化されすぎており、眉唾ともいわれる。

という話があるんですよね。ナポレオンという人物は、まあいろいろ欠点も抱えた人物であり、英雄だった時期も短い。皇帝に即位したあとには、ロシア遠征で敗北し、島流しに遭い、不遇な晩年を送っている。そんな人に、二人の偉大な作曲家がうまいことリスペクトするだろうか?

調べたところ、ウィキペディアには明確な記述は無いものの、ショパンの「英雄ポロネーズ」は、その楽曲の勇壮な調べに対してつけられた通称であり、別に特定のヒーローをイメージしたものではないとの事らしいです。クイズネタにもなっていたりしていたので、音楽業界では有名なトリビア、ってところなんですかね。

日本アイスクリーム協会

もう慣れっこですが、食品の価格がずいぶん上がりました。コンビニで売っている菓子パンもアイスクリームも、以前よりワンランクずつ値上がりしたイメージで。105円で買えていたものが126円になっているのを見ると、なんとなく悔しくて買い控えてしまったりする、景気に優しくないワタクシめです。

さて、そんなある日、それでも残暑の中、Yシャツにネクタイという姿は暑苦し過ぎて、ええいアイスが喰いたい、と思ったわけです。で、コンビニの冷凍庫を覗き込んだら……お、このアイスモナカは105円と書いてあるじゃないか。君はエラい。そう思って購入しました。で……かじったら、堅い。恐ろしく堅い。うへぇ、これが安物か、と思って成分表を見たら、

 「アイスクリーム」

と書いてある。あれ? と思いました。

多くのアイスクリームは、成分表の上の「種類別」の欄には「ラクトアイス」と書かれているのをご存知ですか。ご存じなければ、こんど確認してみて下さい。「ラクトアイス」妙な響きですな。得体が知れないですな。きっとアイスクリームの廉価版、まがい物なんだろ。そう思いながら、でも安いなら許す、とばかりムシャムシャ喰ってたわけです。
それが、これは極めつけの安物に違いない、と思った製品に「種類別:アイスクリーム」の表示が! これが本家だというのか???

不思議に思って「ラクトアイス」をグーグル検索しましたら、いつもお世話になっているウィキペディアの記事もヒットしましたが、その上に「日本アイスクリーム協会」が来ました。ウィキペディアに勝つとは、やりますなぁ日本アイスクリーム協会。
その日本アイスクリーム協会ホームページによれば、アイスクリーム類は三種類に別れるそうです。以下、引用。

 同じアイスクリームのように見えても、乳成分の量によって
 アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスの3つに種類分け
 されます。外から見てアイスクリームのようでも、含まれる
 乳成分が一定以上なければ、法的にはアイスクリームとは
 いえず、アイスミルクまたはラクトアイスということになります。

 「アイスクリーム」
 乳固形分と乳脂肪分が最も多く含まれているので、
 風味がよく栄養的にも優れています。

 「アイスミルク」
 乳固形分と乳脂肪分はアイスクリームに比べて少ないですが、
 牛乳と同じくらいの栄養分を含みます。植物性脂肪が配合されて
 いることもあります。

 「ラクトアイス」
 乳固形分はさらに少なく、植物性脂肪が多く使われています。

というわけで、やっぱりこの記述の印象では「アイスクリーム」が一番高級品のイメージなんですが……まあ、それだけでは測りきれない部分があるのでしょう。
ちなみに、日本アイスクリーム協会のホームページにはアメリカ、イタリア、ドイツ、フランスなどのアイスクリーム事情が綴られており、それも何だか見ていて楽しいです。
それを眺めながら、やっぱり安さに惹かれて堅いアイスモナカを買っている、ワタクシめであります。買ってからしばらくバッグに入れておくと、食べごろになります(笑)

リーマンって150年も歴史あるんだ……

リーマンブラザーズ、という社名をご存知でしょうか。
堀江貴文氏率いるライブドアが、ニッポン放送の買収を試みた際に、資金調達で協力した会社です。いま現在は、別の件で話題になっていますが……

そのリーマンブラザーズ、ライブドアとの連想で、やっぱり最近できたんだろうなぁと、漠然と思っていたんですが……創業来150年の歴史を持つ、という話を今日聞きまして! すわ! と早速ウィキペディアを開いたわけです。

 リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)は、アメリカの
 ニューヨークに本社を置く大手投資銀行である。1850年に
 創立。
 (中略)
 南北戦争では、敗戦後のアラバマ州の復興を資金面で支えた。
 間もなく本部をニューヨークに移す。1870年には
 ニューヨーク綿花取引所が開設され、リーマンもこれに協力

おーっ! 本当だ! 150年だ!
南北戦争! リンカーンの時代ですよ!

ちなみに創業時、日本は江戸時代ということになりますね。

 名門投資銀行の一つとされており、最近日本などアジア方面
 への投資が目立つ。特に有名なのがライブドアへの投資(転換
 社債型新株予約権付社債)である。日本でのオフィスは六本木
 ヒルズの29~32階にあり、アジア太平洋地域の統括本部でも
 ある。

こちらさんもヒルズですか。そうなんですか。

そんなわけで思いのほか歴史が古い事に驚いたんですが、今は倒産の危機で話題になっております。株価は大変な暴落に見舞われていて、米政府が救済に動いているところです。
ニッポン放送買収劇の黒幕と噂された華やかなりし頃から、あまりに急転直下の衰亡ぶり。わからないものです。

世界一大きい岩盤は

世界一大きい岩盤はエアーズロック。
そう聞いた事がありませんか?
少なくとも僕はそう信じていた。
ところが!

 ウルル(Uluru)は俗にエアーズロック(Ayers Rock)とも
 呼ばれる、オーストラリア大陸にある世界で二番目に大きい
 一枚岩。

二番目と書いてあるわけです!
じゃ、1番はどこだよ!?

 世界最大の一枚岩であるマウント・オーガスタスよりも
 知名度が高い事などから、しばしば書籍やWebサイト、
 テレビなどにおいて「エアーズロックは世界最大の一枚岩
 である」などと紹介されるケースがある。

ちなみにマウント・オーガスタスもオーストラリアにあるとの事。オーストラリア、二冠ですね。
ついでですから、もう少し雑学を並べますと

 エアーズロックの名称は1873年、イギリスの探検家
 ウィリアム・ゴスが探検行の途中で発見し、当時のサウス・
 オーストラリア植民地総督ヘンリー・エアーズにちなんで
 名づけた。

人名なんですね。
綴りは「Ayers」で、空気(air)とは断じて関係ない。

 地表部は全体の5%に当たる

あの20倍あるんですって! 奥さん!
ちなみに、近くに「カタ・ジュダ」と呼ばれる岩塊があるようで、それと地下で繋がっている(というかもともと1枚の岩盤がv字形に湾曲して、その両端が地表に露出している)らしい。予想外のでかさですな~

「木鶏」ってなんだ?

某所で「我いまだ木鶏たりえず」とかいう台詞を目にしまして。なんだその「木鶏」というのは。
wikipediaの記事をまるまる全文引用します。

 木鶏(もっけい)とは、荘子に収められている故事に由来する
 言葉で、木彫りの鶏のように全く動じない闘鶏における最強の
 状態をさす。
 故事では紀悄子という鶏を育てる名人が登場し、王からの
 下問に答える形式で最強の鶏について説明する。
 紀悄子に鶏を預けた王は、10日ほど経過した時点で仕上がり
 具合について下問する。すると紀悄子は、『まだ空威張り
 して闘争心があるからいけません』 と答える。
 更に10日ほど経過して再度王が下問すると『まだいけません。
 他の闘鶏の声や姿を見ただけでいきり立ってしまいます』と
 答える。
 更に10日経過したが、 『目を怒らせて己の強さを誇示して
 いるから話になりません』 と答える。
 さらに10日経過して王が下問すると 『もう良いでしょう。
 他の闘鶏が鳴いても、全く相手にしません。まるで木鶏の
 ように泰然自若としています。その徳の前に、かなう闘鶏は
 いないでしょう』 と答えた。

 上記の故事で荘子は道に則した人物の隠喩として木鶏を
 描いており、真人(道を体得した人物)は他者に惑わされる
 こと無く、鎮座しているだけで衆人の範となるとしている。
 木鶏という言葉はスポーツ選手に使用されることが多く、
 特に日本の格闘技(相撲・剣道・柔道)選手が好んで使用
 する。横綱の双葉山がこの言葉を好んだことは有名である。

なるほど……そのようにありたいものです。
いや、格闘家ならともかく、ちょっと付き合いづらいかな……

神がいつの間にか悪魔扱いされる顛末

先日、古代エジプトの神「アモン」について調べていましたが、「ソロモン72柱の1柱である悪魔アモン(Aamon)の原典と見る説もある。」とかいう、何だか良く分からない記述が出てきました。なんだその、ソロモン72柱とか、悪魔アモンとか言うのは。

これ、Wikipediaをドバーッと引用します。

 「ソロモン72柱」
 ソロモン72柱(ソロモンななじゅうふたはしら)は、
 悪魔学によるとイスラエル王国の第三代の王である
 ソロモン王が封じたとされる72柱の悪魔のこと。
 おのおのが地獄における爵位(悪魔の階級)を持ち、
 大規模な軍団を率いるとされる。文献によって構成する
 悪魔に異同があり、実際には72柱以上が見られる。

 旧約聖書には書かれていないが、伝説によればソロモンは
 その強大な魔術(もしくは神より授かりし指輪)を駆使
 して悪魔たちを使役し、エルサレム神殿を建立したという。
 しかしソロモンは彼らの尊大さを危険視し、真鍮の壷に
 封じこめて「バビロンの穴」と呼ばれるバビロニアの深い
 湖に沈めたという。後にバビロニアの人々はこの壷を発見、
 財宝が入っている事を期待して封印を解いたが、出てきた
 のは悪魔たちだった。悪魔たちのうち71柱は逃げ出して
 もともといた地獄の領地に戻り、ただ大悪魔ベリアルだけが
 残って偶像の中に入り込んで神託を行うようになったという。

まぁともかく、よく分からない事を好きこのんで調べる人がいるもんです。(って僕の事ですか)
ちなみに、どーして72なのか? というと……

 72柱の「72」は、十二宮の一つの宮をさらに6区画に分割
 して得られる数字で、象徴的な全方角の支配者を定める
 ための図から得られたものらしい。そのためウァサゴの
 ように名前以外の正確な姿や性格、特徴の伝えられて
 いない悪魔もいる。

ということで、若干、数学くささもあります。呪術や宗教はしばしば数学の上に乗っかっていたりします。
それから、72の内訳ですが、

 構成する悪魔の中にはフェニックスやバアル、アスタロト
 の様に元々は他の宗教・神話の神であるものもいる。

という事で、ユダヤ教やキリスト教が周辺の他宗教とどのように接していったかを垣間みさせてくれる部分でもあります。周辺の他宗教の神でも、中には懐柔のためにキリスト教の聖人に置き換えられる例もあるので、どのへんで聖人になるか悪魔になるか決まるのか、興味深いところです。

 72柱の悪魔は、ソロモンの著書と言われている
 『レメゲトン』(別名:ソロモンの小さな鍵)の
 第1部『ゴエティア』に記されている。『レメゲトン』は
 第5部(一部写本では4部)まであるが、実際には
 『ゴエティア』のみが本来の『レメゲトン』の内容で、
 他は独立して成立したものが後にまとめられたもの考え
 られている。

もし本当にソロモン王が書いたのなら成立は紀元前の昔にさかのぼるはずですが、実際は、17世紀以降に成立した書物と目されているようです。

 「レメゲトン」は「グリモワール」と呼ばれる書物に
 分類される。『レメゲトン』に出てくる悪魔は、フランスの
 ジャーナリストであったジャック・アルバン・シモン・
 コラン(1794年~1881年)が、コラン・ド・プランシー
 というペンネームで出版した『地獄の辞典』にも多数登場
 する。現代の悪魔に関する人々のイメージは、「辞典」の
 第6版に加えられたM・L・ブルトンという画家の挿絵に因る
 ものである。

「グリモワール」は魔術を扱った書物の総称、といったところのようです。
現代人の悪魔に関するイメージを決定づけた、というくらいですから、なかなか優れた挿絵画家だったと言うべきかと思うのですが、どうやらその挿絵かなとおぼしき図版がwikipediaでいくつか見ることが出来ます。「ソロモン72柱」のページから72の各悪魔に関する記述にリンクがあり、そのうちいくつかには、興味深いその姿が。
で、恐らくその記述の元になったであろう書物が「悪魔を使役する」という目的を持った本ですから、記事もそういうイメージで書かれています。悪魔の力を利用してどうこう、という話は歴史上パラパラありますが、こういう記述を読んでいると、彼らが思っていた事の片鱗が覗き見えるようで興味深い。これも人類の誤謬の歴史、のひとかけらでしょうか。

ちなみに古代エジプトの神「アモン」はどのように扱われているかと言いますと

 「アモン」
 アモン(Aamon)は、悪魔学によるとソロモン72柱の
 魔神の一人。デーモンの40個軍団を配下に置く序列7番の
 大いなる貴公子。マモン、マンモン、アマイモンとも
 呼ばれる。「枝葉末節、悪意、利己」を司る。
 七つの大罪の一つ「強欲」も司る悪魔マンモンと同一視
 されることもあるが、別の悪魔である。
 口からは炎を吐き「炎の侯爵」の異名をとる。72柱の中で
 最も強靭で、また謎多き存在。アモンは「隠されたる者、
 不可解なる者、計り知れぬ者」の意味をもつという。
 彼の姿には定説がなく、ある時はフクロウの頭をもつ
 男性として、あるいはヘビの尾と狼の頭を持つ人として
 表される。自分を召喚した者に過去と未来の知識を教え、
 愛にかかわる秘密も教えるという。
 フクロウの頭を持つことから、エジプトの神の一柱が
 悪魔として解釈された存在とされる。

古代エジプト神話ではダントツにエラい主神だったわけですが、悪魔になっても、やっぱりエラい。

アンモニアの語源はこの人です

もう、今日はWikipediaからそのまま借用しちゃおう。
とにかく偉いんです。このえらいひとが、アンモニア臭、じゃなくてアンモニアの元なんですね。

 「アモン」
 元々はナイル川東岸のテーベ(現・ルクソール)地方の
 大気の守護神、豊饒神である。中王国時代第11王朝の
 メンチュヘテプ2世がテーベを首都としてエジプトを
 再統一して以来、末期王朝時代の第30王朝までの1,700年
 余りにわたり、ラー神と一体化、「アメン=ラー」として
 エジプトの歴史・文明の中心に位置し、エジプトの神々の
 主神とされた。第12王朝の王アメン・エム・ハト、新王国
 時代第18王朝の王トゥト・アンク・アメンなど歴代の
 ファラオの名にも含まれている。

「トゥト・アンク・アメン」は日本語では「ツタンカーメン」とも発音されます。

 エジプト最大の神殿であるカルナック神殿に祭られており、
 神殿の大列柱室などに見られる数々の壁画には、2枚の羽を
 冠した人物像として刻み込まれている。また牡羊として
 表現されることもある。世界遺産第一号であるアブシンベル
 神殿内の至聖所に座するその像は、第19王朝のファラオで
 あったラムセス2世像とともに、春と秋の特定の日に1回ずつ
 奥まで届く太陽の光によって照らし出されるようにするため
 に、天文学的計算に基づいた配置となっている。

 マケドニアのアレクサンドロス大王は、エジプト入りを
 果たした紀元前332年、古代エジプトの偉大な文明にいたく
 感動し、自らを「アモンの息子」と称した。
 また、神々の主とされることから、ギリシア人はゼウスと、
 ローマ人はユピテルと同一視した。

 アンモナイト、アンモニウム塩、アンモニアなどの語源にも
 なっている。 アンモナイトは「Ammon (アモン神) + -ites
 (…石)」から来ており、「アモンの石」の意。ほかに
 日本語でも「アモン貝」の異名がある。

 また、アメン神を、ソロモン72柱の1柱である
 悪魔アモン(Aamon)の原典と見る説もある。

アンモナイトも同語源だったのか。