カツレツって一体何事か | 雑学大典

カツレツって一体何事か


昔、英語の授業でO・ヘンリーの『賢者の贈り物』を訳したんですが、それで非常に気になった部分がありました。『賢者の贈り物』はクリスマス・イヴの晩に互いにプレゼントを買うお金のなかった若いカップルのお話ですが、その最後のくだり、男性が女性に「いやはや、まあ、とりあえずカツレツを焼いておくれハニー」みたいなことを言うんですね。それを読んで、松尾少年は激しい違和感を覚えた。

 カツレツって!

明らかに、クリスマスの夜に貧しいカップルが、それでも愛情一杯ハートまみれになって食うものではないわけです。むしろ揚げ物大好きソース大好きな、そして昼食に躊躇せず1000円近く払えるエスタブリッシュな方々が、食べるものな気がするわけです。
これはどうも、文化の違いがある。アメリカ人はクリスマスの晩にパン粉を付けて揚げた肉を喰うのか? いやいや、これは「カツレツ」という語が表す料理の内容が違うのでしょう。貧しい二人が塊肉に卵やらパン粉やらを付けるような凝った料理を食するとは思われないのです。(それに、たしかオーブンで焼いておくれと言っていたし)

では、ウィキペディアで調べましょうや。

 「カツレツ」
 カツレツとは食材を小麦粉、溶き卵、パン粉などの衣で包み
 食用油脂を用いて加熱した料理の日本における呼称。
 (中略)
 cutletという単語は単に肉の小片、あるいは各種の食材を
 混ぜ合わせて成型した料理を指すものであり、決してパン粉の
 衣をつけて油で揚げるという調理法を意味するものではない。
 このため諸外国ではオーブンで焼いたり衣をつけずに炒める
 などした肉料理がcutletと呼ばれている場合もある

うむ。やっぱり。どちらかと言えばハンバーグに近いものかな?
肉だけでなく混ぜ物をするあたり、貧しい二人っぽい。
(余談ですがステーキよりハンバーグの方が好きなワタクシ……)

なお、日本のカツレツについては以下の通り。

 関東におけるカツレツについては、1890年(明治23年)に
 銀座のレストラン『煉瓦亭』が考案したとされている。
 その後煉瓦亭から広まったポークカツレツはその後独自の
 進化を遂げ、とんかつと呼ばれる新しい和食へと発展、
 また数多くの派生料理を生むこととになった。カツレツの
 技法は、串カツやエビフライ、本来は異なる種類の料理で
 あるコロッケなどにも応用されていった。

 英語のcutlet( "t" の音は非常に弱く発音されるため、
 日本人の耳にはカレあるいはカッレッと聞こえる)が
 カツレツと呼ばれるようになった理由は、促音を小さく
 書かない旧かな表記法の誤読であろうと想像される。

衣を付けて揚げる調理法は、日本での創案と言って宜しい、のでしょうかね。
このウィキペディアの記事、「要出典」表示が出ていたりと、ちょっと不安もある記述なのですが。