雑学大典 -6ページ目

重曹・多重奏

重曹の多様な働きの数々です。
どどーっと行きます。
まず

 消火剤として用いられる。

火事場の力持ちらしい。ぶっかけると熱で分解して、それで生じたナトリウムイオンが、火の中で生じているOとかOHとか、普通じゃ存在しないはずの有象無象を捕まえて、燃焼反応自体を沈静化させるらしい。ほほーう。
消防活動に当たる人は、化学の知識が必須らしいです。(公務員試験でも化学が課される)

 <調理>
 分解しやすい性質から、ベーキングパウダーなどとして調理に
 使われる。口中で炭酸ガスを発生させるソーダ飴などには粉末で
 封入される。ワラビなどの山菜のアク抜き、松の実などの臭み
 取り、豆を早く煮るため、肉を柔らかくする下ごしらえ、グレー
 プフルーツや夏みかんの強烈な酸味を中和させるために直接
 かけたり、冷凍エビの食感改善などにも使うことができる。
 さらには、マクビティに代表されるダイジェスティブビスケット
 類には、消化能力を高める働きを持つ重曹を多く使われている。
 このように食用ともされることから安全性が高いと見られて
 いる。重曹とクエン酸を混ぜると炭酸ガスが発生し炭酸水と
 なるので飲料としても用いられ、レモンを加えレモンソーダに
 したり、砂糖を混ぜサイダーを作るということも可能である。

炭酸を出す、っていうのが第一の効果。アク抜きとか早く煮るとかは、どういう作用でしょうね。酸を中和する作用はあるらしいのだけど、消化能力を高めるとも書いてあるなあ……このへん、ちょっとよく分からない。

 <洗浄・脱臭>
 研磨効果、鹸化(乳化)効果から、洗剤や洗剤の補助として、
 衣類の洗濯や、換気扇などの固着した油汚れ・焦げ落としに
 使用されたりする。重曹は、水質汚染で問題とされるBOD・
 COD値がなく、環境ホルモンも含まれていないため環境に
 やさしいとされる。
 酸性の臭いに対する脱臭効果があり、肉・魚臭さを消したり、
 靴箱の脱臭剤などにも使用できる。
 最近では歯磨きやうがいなどにも使用されることがある。

体にやさしく地球にやさしい。最強じゃないですか。ロハス臭が漂っている(笑)

 <入浴>
 天然の温泉に含まれる場合は重曹泉となり、
 これを模した入浴剤もある。

「入浴剤」の項目にも書いてありましたなぁ。

 <医薬品>
 医薬品としては、胃酸過多に対して制酸剤として使われる。
 ただし胃酸が中和された時に発生する二酸化炭素の泡が胃を
 刺激し、さらなる胃液の分泌を促進することが知られている。
 また、ナトリウムの過剰摂取につながることがある。点滴剤は
 アシドーシスの対症療法に用いられる。

うーむ。やっぱり酸を中和するって書いてあるんですよね。だけど消化を助ける働きもあって……消化を助けるって、胃酸とタッグを組むってことじゃないのか。酵素みたいな力があるとも思えないし……謎だ。

 <ほか>
 また、中学理科の「化合物の分解」でよく用いられ、生成する
 二酸化炭素を石灰水の白濁から、水を塩化コバルト紙の赤変
 から確認する。水が加熱部に逆流して試験管が割れるのを防ぐ
 ために、加熱する試験管の口をやや下向きにしておく必要が
 ある。
 酸性の土壌を中和するためにも用いれば、アルカリ性の土壌を
 好む植物の生育がよくなる。安全性の認められた特定農薬
 として植物から虫を駆除するためにも使用される。

ちょいと熱を加えれば分解して二酸化炭素と水を出す、というのが、やっぱり目立った特色なんですな。
というわけで、重曹=重炭酸曹達、大活躍です。

重曹って何ですか

先週石灰の話を書いたんですが、そこで「じゃあ重曹って何だっけ」と思ったわけです。

 炭酸水素ナトリウム(たんさんすいそナトリウム、
 別名:Sodium Hydrogen Carbonate、Sodium Bicarbonate
 重炭酸ナトリウム、重炭酸ソーダ、重曹)はナトリウムイオンと
 炭酸水素イオンの塩である。
 化学式:NaHCO3。常温で白色の粉末状である。式量は84.01。

というわけでソーダソーダ、重曹だ。炭酸水素ナトリウム、のことだそうです。石灰はカルシウムでしたね。金属が違う。
気になるのは「重炭酸」という言葉が散見されること。炭酸基(CO3)はひとつしか付いていないよなぁ……
疑問に思って調べたら、こんな説明を見つけました。「なんちゃらソーダ」の中でも、工業分野において一番重要な物質は炭酸ナトリウムで、普通ただ「ソーダ(漢字の当て字は「曹達」というそーだ……)」と言ったら炭酸ナトリウムのことなんだそうです。で、炭酸水素ナトリウムは炭酸ナトリウムより比重が重いから、「重炭酸曹達」略して「重曹」と。ほほぅ。

なるほど、説得力があります。というかほぼ真実だろうと思われる説明です。
でも……英語名のひとつが「Sodium Bicarbonate」なんですよね……これはどう見ても「二重に炭酸化したソーダ」だと思うんですが……
ちと分かりません。「Sodium Bicarbonate」が重曹を指す事は間違い無さそうなんですが、すると「Bi」の解釈が間違っているのか。
だれか教えてくれませんか。

それはともかく、個人的に「重曹」の語源は収穫でした。

 水酸化ナトリウム溶液に二酸化炭素を反応させて製造する。
 (中略)
 また、天然の鉱物を精製しても得られる。
 (中略)
 水への溶解度が低い

といった物質だそうです。
ええと、それから重曹は用途が広いですね。
次回はそのネタで行こうかと思います。

石灰・せっかい・お節介

タイトルには何の意味もありません。ごめんなさい。

ある日、突然化学に関する質問を受けてしまったわけです。が、私は一番の専門は算数であって、化学なんて高校二年時に中途半端な点しか取れないまま、有機化学の半分くらいまでしか勉強せず、あとはもれなく履修漏れなわけです。ぐは。
しかも、受けた質問は「石灰石って、物質名は何でしたっけ」という、よく勉強している中学生なら余裕で答えられるもの。これはやっぱり恥しい。こっそり調べておきましょうね。

 石灰石(せっかいせき、limestone)は、鉱物である
 方解石・霰石、あるいは岩石である石灰岩・結晶質石灰岩
 (大理石)を、資源として扱うときの鉱石名または商品名。
 物質名:炭酸カルシウム

なるほど。炭酸カルシウムですか。
でも、ちょっと待って。なんとか石灰って、他にも何種類かあったような。それと混乱して不安だったんですよ。もう少し調べます。

 炭酸カルシウム(たんさんカルシウム、CaCO3)は、
 カルシウムの炭酸塩である化合物。実験では、二酸化炭素を
 水酸化カルシウムと反応させてできる。
 (中略)
 加熱することにより酸化カルシウムと二酸化炭素に分解する。

「水酸化カルシウム」「酸化カルシウム」というのが登場しました。これが調べたところでは,それぞれ「消石灰」「生石灰」と言うそうで。

 酸化カルシウム(さんかかるしうむ、quick lime)は
 化学式 CaO で表わされる化合物。慣用名として、生石灰
 (せいせっかい)とも呼ばれる。炭酸カルシウムを900℃以上
 に加熱すると二酸化炭素を放出して生ずる。
 (中略)
 水を加えると発熱し、数百℃にまで温まった後、水酸化
 カルシウム(慣用名 消石灰)を生成する。

 水酸化カルシウム(すいさんかカルシウム)は、
 化学式 Ca(OH)2 で表される物質を指し、
 消石灰(しょうせっかい)とも呼ばれる。
 (中略)
 酸化カルシウムに加水すると生成する。
 (中略)
 水酸化カルシウムが飽和した水溶液は石灰水と呼ばれ、
 二酸化炭素を吹き込むと炭酸カルシウムが析出し、白く濁る。
 これは生成する炭酸カルシウムが水に溶けないためである。

えーっと纏めますと。
炭酸カルシウム(石灰石)を加熱すると二酸化炭素が抜けて酸化カルシウム(生石灰)になり、そこに水が加わると熱を発して水酸化カルシウム(消石灰)になる。そんでもって、そこに二酸化炭素をぶくぶく加えると,また炭酸カルシウム(石灰石)に戻る,と。ぐるぐる回せますね。
ちょっと厄介なのは,その呼び名ですね。

 炭酸カルシウム(石灰石)
 酸化カルシウム(生石灰)
 水酸化カルシウム(消石灰)

物質名も慣用名も似たり寄ったりだし,さらにたちの悪いことに,炭酸カルシウムが「石灰石」なのに対して,「石灰水」は水酸化カルシウム水溶液のことだったりするようです。うーあーうー。

ついでに身近な用例を確認しますが,炭酸カルシウムは水にほとんど溶けず,大理石・鍾乳石・白亜(チョーク)の主成分とのこと。あー道理でチョークのついた布を洗ってもなかなか取れないわけだ。
酸化カルシウムは,水が加わっただけでかなりの発熱をするわけですから,危険なので当然身近にはあまり無い。「乾燥剤や、殺虫剤などに用いられる他、缶入の清酒や弁当を温めるために水と生石灰を袋詰し、紐を引くと両者が混合して発熱するようにしたものもある」とありました。もしかして融雪剤もこれだっけ? とか思ったら,それは塩化カルシウムでした。たしかに「エンカル」って言うな。

水酸化カルシウムについてはいろいろ書いてありまして,

 グラウンドなどに白線を引くのによく用いられるほか、
 酸性化した河川や土壌の中和剤、凝集剤としても用いられる。
 砂、海草抽出物と練ったものは漆喰と呼ばれ、壁や天井に
 塗られる。固まるまでに時間がかかるが長持ちする内外装材で
 ある。これが固まるのは下に示すように空気中の二酸化炭素を
 吸収することによって炭酸カルシウムが生成するからである。
 また、こんにゃくの凝固剤としても使用されている。
 ほかに、試薬、食品や化粧品のpH調整剤、カルシウム補充剤、
 化学合成原料、体質顔料、殺菌剤などとしても用いられる。

漆喰の凝固は水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化することを利用している。つまり漆喰の壁というのは石灰岩や大理石の親類ですか。てことは酸をかけると二酸化炭素出して解けるのかな? 大理石みたいに酸性雨で解けるのかな?

興味は尽きぬわけですが,きょうはこのへんで。

明けましておめでとうございます

今年も淡々と雑学を収拾していく所存です。
宜しくお願い致します。

年賀状画像をアップロードしようとしたら、できなくなってます(苦笑)

コロッケのアルファベット綴り

コロッケという料理があります。和製洋食として有名、というのが僕の認識です。和製だから、あくまでカタカナ語、のはず……と思っていたら、ある日ファミレスで見たわけです。アルファベット綴りを! 「croquette」とか書いてある!

ん? クロケット? それはあの、イギリスの球技ではないか?
……それはクリケットだった。

 「コロッケ ー歴史」
 日本にどのようにコロッケが登場したかは、あまり明らかに
 なっていない。

 「コロッケ」の起源の有力説として、フランス料理の付け合せ
 であったクロケット(仏:croquette)起源説がある。
 フランスのクロケットはミンチにした魚肉やとり肉などを
 混ぜたクリームコロッケに近い物が主流である。ただし
 ジャガイモをつぶした物にパン粉をまぶして揚げて作った
 クロケットのレシピも見いだされる。

なるほど。これを綴りとして書いたものか。
この記述を読んで初めて「そういえばフランス語っぽい綴りだな」と気づく。大学でフランス語勉強したはずなのだが……
あと、一応別説も紹介されていますが、

 またオランダにもクロケット(kroket)と呼ばれる料理が
 あり、こちらはホワイトソースでできたもののほか、
 ジャガイモで作られたものもあり、ジャガイモコロッケの起源
 ではないかとの憶測があるが、フランスからオランダに
 クロケットが伝播したのが1909年とされ、日本のコロッケの
 普及時期に比するとオランダ伝来と考えるだけの信憑性は薄い。
 (en:Croquet (food))

なるほど。フランス語綴りの方が正しそう、と。

ビタミンB12って何?

肩こりやら腱鞘炎やら、いろいろ抱えているワタクシですが、最近知人に「肩こりにはビタミンB12が良い」と言われまして。それは何かなと。何に含まれているんでしょうか。

 「シアノコバラミン」
 シアノコバラミン(Cyanocobalamin、コバラミン、
 Cobalamin)は、ヒドロキソコバラミンともに
 ビタミンB12とも呼ばれ、ビタミンの中で水溶性ビタミンに
 分類される生理活性物質である。
 化学式 C63H88O14N14PCo。
 分子量 1355.4 g/mol。

 多く含む食品
 海洋性食品である海苔、貝、魚類に多く含まれる。 動物性
 食品では肝に多く含有される。一方、野菜、果物にはほとんど
 含有されない。

けっこう大きな分子ですね。おっ。分子の真ん中にコバルトが入ってますよ。一応必須元素の1つでありながら、栄養の話に登場するのをとんとお見かけしたことがありませんでしたが、こんなところに。
海洋性食品に多くて、あとは肝かぁ。安い鶏胸肉じゃダメそうですね。じゃ、やっぱり僕はB12が足りないのか。欠乏した際に発症する症状がいくつか書かれていましたが……

 欠乏症は、ビタミンの供給、吸収にかかわる蛋白質、この
 ビタミンを利用する酵素の異常、など非常に複雑な要因が
 絡んで起こる。ビタミンB12の一日の必要量は極めて少なく
 (2.6マイクログラム)、また体内の備蓄量はミリグラム単位
 で存在するため、毎日ビタミンをとらなくてもすぐには欠乏症
 になることは無い(概ね5~6年分は備蓄されていると言われて
 いる)。胃切除などで、ビタミンB12の吸収に必須の蛋白質が
 分泌されなくなると、体内の備蓄の大半を消費した頃に欠乏症
 が現れる。また、野菜・果物類にはほとんど含まれていない
 ビタミンのため、極度の菜食主義でも欠乏症になることがある。

うーん。つまり、僕がB12欠乏、という可能性は低そうだなぁ。
まあ、欠乏症というのはかなり深刻な症状であって、肩こりなんていう甘っちょろい代物ではないんですけどね。
足りていれば口径摂取しなくても完璧に無問題、と限った事でもなかろうし。

まあ、辛い目・肩・腰の諸症状にというような、総合栄養補助的な代物を試してみる分には良いかも。でも、それより風呂で暖めてストレッチ、かな。

禿げたのは何時か ~上杉考~

昨夜は大河ドラマ「風林火山」最終回だったそうで。そうですか、というわけで、今までマトモに見ていなかったものを少し見たりしたんですが、主人公が討ち死にして終わる、という展開でしたね……史実を知らなかったので、ちょっと驚きました。加えて、最後の映像は結構凄まじかった。主人公が槍で突かれ、胸板を銃で撃ち抜かれ、さらに首をはねられ、その首を失った胴と斬られた首が別々に信玄の元に運び込まれる様を描写したりと、コレなかなか激しい。「迫力の描写」という肯定的な評価も「残虐だ」という否定的な評価もありそうですが、ともかく大胆な描写。驚いた。

で、それを見ていて、ふと思ったんですね。
「あれ? 川中島の合戦で上杉謙信って坊主じゃなかったの?」
昔見た歴史漫画の川中島では、信玄との一騎打ちのシーンで既に僧形だった気がするんですよね。

で、ウィキを見たら

 「上杉謙信」
 永禄4年(1561年)8月、1万3000の兵を率いて川中島に出陣
 する(第4次川中島の戦い)。このとき、武田軍と大決戦に
 及び、武田信繁、山本勘助らを討ち取ったが、上杉軍の死傷者
 も甚大で、結局痛み分けに終わった。
 (中略)
 永禄12年(1569年)(中略)12月には法号「謙信」を称した。
 (中略)
 元亀4年(1573年)、宿敵・武田信玄が病没して武田氏の脅威
 が薄らぎ、越中の過半を制圧。(中略)同年12月19日、
 剃髪して法印大和尚に任ぜられる。

なるほど。山本勘助を打ち取った時は、まだ名前は俗名だし、剃髪もしていない。そうですか。

なお、武田信玄とか上杉謙信とか、ものすごく強かった、天才的だった、というように言われますが、それぞれ弱点も限界ももっているし、何より皆、謀反の繰り返し、内乱の繰り返しに悩んでいたんですね。ウィキの長大な記述を見ると、その事が実に良く分かる。
ドラマの描写を見ていてつくづく思ったんですが、これだけの人間が命をかけてぶつかり合い、命を奪い合うという状況は、やはり凄まじいものがある。なんだかんだ言って、今は平和です。

ショートケーキって短くないよなぁ

「ショートケーキ」と言えばイチゴかと思っていたのですが、季節がら町中にケーキがあふれ始めてみて、ふと気づくとイチゴじゃないフルーツが乗ったものも「ピーチショートケーキ」とかって名前で売っている。ふーん、ショートケーキってイチゴじゃなくてもいいのか。と言いますか、そもそもショートケーキとは何ですか。ウィキペディアを参照します。

 「ショートケーキ」ー日本式のショートケーキ
 イチゴショートケーキ
 日本では、スポンジケーキを土台に、ホイップクリームを
 つなぎと外装に、そしてイチゴを味付けに使ったものを
 「ストロベリーショートケーキ」といい、一般にはこれを単に
 「ショートケーキ」ともいう。イチゴ以外の食材を使ったもの
 は通常その食材の名を冠して、「バナナショートケーキ」
 「ピーチショートケーキ」などという。
 (中略)
 「スポンジケーキ+ホイップクリーム+イチゴのケーキ」を
 大正時代日本に紹介してこれを広めたのは不二家だが、
 発案者が誰なのかは伝わっていない。

つまり不二家発祥の「スポンジケーキ+ホイップクリーム+フルーツ」という構成が、「ショートケーキ」の日本における定義ですか。
いや、しかしですな。なぜ「ショート」が「ホイップクリーム+フルーツ」になるのか、まだよく分からない。
で、「日本式のショートケーキ」とある以上は、「日本式でないショートケーキ」もあるわけですね。

 「ショートケーキ」ーアメリカ式のショートケーキ
 アメリカ式ショートケーキの一例
 ショートケーキはそもそもアメリカ合衆国の庶民的な家庭菓子
 ショートケイク(shortcake)を日本風にアレンジしたもの
 である 。
 アメリカのショートケーキ (shortcake) は本来スポンジ
 ケーキではなく、「ビスケット」と呼ばれるパンとケーキの中間
 のようなものを土台にしている。これは…(中略)…外側は
 サクサクとして内側はふっくらとした食感のあるパン/ケーキ
 であり(形容詞 short には「サクサクしている」という
 意味もある)…(中略)…甘めに味付けしたビスケットを横半分
 に割って刻んで砂糖をふったイチゴを挟み、その上にさらに
 イチゴやホイップクリームをトッピングすることが多い。

手元のジーニアス学習英和辞典を引くと、確かにshortは「サクサクした、もろい、壊れやすい」という意味があるようです。「ショートケーキ」とは「さくさくケーキ」の意味なのですなぁ。
では、それが何処でどうしてスポンジしっとりケーキになったのか。日本人の勘違いなのか?
そうとも限らないらしい。

 日本にこのアメリカ式ショートケイクが紹介された当初、
 残念ながらそれは日本人の持つ「洋菓子=高級」という感覚に
 合致するものではなかった。そこで誰ともなしに (ただし
 不二家によれば不二家が最初に) スポンジケーキを
 ビスケットの替わりに使うようになったのだという。

この記述によれば、高級感を出すためにわざと取り替えたのであって、勘違いではないようです。
また、続けて以下のような記述も。

 なおアメリカでも、大都市や洗練された街のケーキ屋に限っては
 「スポンジケーキ+ホイップクリーム+イチゴのケーキ」のこと
 を ストロベリー・ショートケイクということがある。その由来
 には二説あり、アメリカでも誰かがビスケットのかわりに
 スポンジケーキを使ったところ好評でこれが定着したとする
 もの、日本式のショートケーキが逆輸入されてこれが外国文化の
 影響を受けやすい都市部に広まったとするもので、この両方と
 する説もある。なお、家庭でもビスケットの代わりにスライス
 したパウンドケーキを用いることがあるが、日本のショート
 ケーキとは全く形状が異なる。

また「フランス式」に関する記述もあり、フランス式もしっとり系だと書いてあります。
語源からはかけ離れた高級路線が世界の主流というわけか。

柿を喰いつつ「こけらおとし」を調べる

実家には柿の木があります。私の家族は柿があまり好きでないので、いつも勿体ないことになっています。
最近はビタミンCが豊富らしいと知り、僕がやたら食べますが。

↑数字で好き嫌いを決め、頭で物を食う男

さて。
あるとき「柿落とし」という文字を見つけたのです。
これを「こけらおとし」と読むらしいんですよ。「こけらおとし」というのは、劇場などが完成したときの、最初の興行を指す、と認識しています。

で、なんで柿を「こけら」と読み、それを落とすと劇場の完成祝いの興行になるのよ。

ネットで調べてみたんですが、まず見つかった意見は、「かき」と「こけら」は極めてよく似た別の字である、というものです。
ある記事によれば、「かき」も「こけら」も、へんは「きへん」だが、つくりが違う。「かき」は「なべぶた+巾」だが、「こけら」はもともとカタカナの「ホ」のような形を書くこともあり、縦の棒が上の横棒を貫通している。こちらは木屑を表す字で、新築の木造家屋から木屑を払い落とすのが「こけらおとし」である、と。ふむふむ、説得力がありますなぁ。

しかし、こちらはもっと説得力があります。
 暁に死す/こけらとかきの違い

2ページ目まで読んで下さいね。
けっきょく、諸説あり、というのが実際のところらしいです。

「燐」とは何か?

リン(燐)という物質があります。
原子番号15番。元素記号は「P」
ヨーロッパ語では「Phosphorus」だそうです。

それはいいんですが、その物質を我々日本人は「燐」と漢字で書く。でも「燐」という漢字を発明した中国古代人が、原子番号15番のためにこの字を発明したとは、とても思えないわけです。
じゃ、この字は元々なんだったのか。


待ってましたどどーん。

 「燐」
 声符は「リン(米の下にタとヰ「燐」や「隣」のつくりの部分)」
 「リン」は……聖所に人牲として磔されている者の形。

うぉう。生け贄としてはりつけにされた人間の形だそうですよ。
死体を表す形である、と。

なんでも、戦争で多くの兵馬が死んだ後、その血が長く曝されていると、やがてそれが光りだす。遠くから見ると火のように光る。それが「燐」だそうです。鬼火を表す字だとのこと……

ちなみに、燐という物質そのものは、ウィキペディアによれば

 1669年にブラント(H.Brandt)が錬金術の実験中に発見。
 ギリシャ語で'光をはこぶもの'という意味の
 「phosphoros」から命名された。

とのこと。確かに光るらしい。