木星、火星の居心地やいかに | 雑学大典

木星、火星の居心地やいかに

「fly me to the moon」というジャズのジャズのスタンダードナンバーがあります。アニメ「エヴァンゲリオン」のエンディングテーマに採用されて、我々の世代にも有名です。その中に「私に見せて/木星や火星では春はどんな風かしら?(拙訳)」という歌詞が登場しますが……木星について、ウィキペディアに以下の記述が。

 木星の赤道傾斜角は、3.08 - 3.12°と水星に次いで
 小さく、自転軸がほぼ垂直である。このため、地球などに
 見られるような、気象現象の季節変化はほとんどないと
 推測されている。

季節は無い、と書いてあります。ええと、分かりますか。

地球に季節があるのは、地球の地軸が傾いているからです。地軸と言うのは、地球がコマのように、あるいはバレエダンサーのように、ぐるぐる回転している、その回転の軸ですね。地軸が傾いた、地球は首をかしげたような姿で太陽の周りを回っています。当然、首が太陽の方に傾いていると、頭のてっぺんの方(北極側)に太陽の光がよく当たり、首が太陽とは逆の方に傾いていると、あごの方(南極側)に太陽の光がよく当たる。それで、よく光が当たってぽかぽかする側が夏、あんまり当たらない側が冬になります。
すると、首を傾げていない惑星は、年中頭のてっぺんにもあごの方にも同じくらいの光が当たり、結果、季節なんか無い事になる。

木星には春なんか来ないそうですよ。

ちなみに春夏を問わず、木星の気候はどんな具合かと言うと、

 木星表面の特徴的な模様として大赤斑(だいせきはん)の
 存在がよく知られている。これは地球の2倍ほどの大きさが
 ある木星大気の渦であり、大気の自転とは逆方向に動いて
 いる。ジョヴァンニ・カッシーニによって1665年に発見
 されて以降、約350年間存在し続けているが、どのような
 メカニズムで長期間にわたって存在し続けているのかは
 解明されていない。木星全体は常に何層もの雲に覆われて
 おり、大気層の下にあると考えられる液体の表面を見る
 ことはできない。

というわけで、水素ガスでできた分厚い大気層には少なくとも350年間居座り続けている地球を飲み込むほどの台風が1個。その分厚いガス層は、底が見通せないくらいであり、当然底から見上げた木星の空は極度の曇天、というかガス層が厚過ぎて光が一切届かず暗黒の世界かもしれませんな。その地表は……いや「地」というべきものが無い。あまりに高い気圧で液体金属化した水素の海がある、らしいです。
素敵なところです。

これと比べれば火星の気候は随分穏やかそうですな。

 地表での大気圧は約750Paで、地球での平均値の約0.75%に
 過ぎない。しかし、大気の厚さを示すスケールハイトは
 約11kmに達し、およそ6kmである地球よりも高い。火星の
 大気は希薄なために熱を保持する作用が弱く、そのために
 火星の温度は低い。火星の表面温度は最高でおよそ20℃で
 ある。火星大気の組成は二酸化炭素が95%、窒素が3%、
 アルゴンが1.6%で、他に微量の酸素と水蒸気を含む。

 火星の自転周期は地球のそれと非常に近く、火星の1日
 (1火星太陽日、1 sol) は24時間39分35.244秒である。

けっこう地球と似ていますよね。20度あれば、過ごしやすい。(オゾン層が無いから紫外線がさんさんと降り注ぎますけれど)また、「赤道傾斜角25.19°」とあり、地球の23.4度とかなり近い。当然冬も春もあり、

 冬の数ヶ月間に極地方で夜が続くと、地表は非常に低温になり
 大気全体の25%もが凝固して厚さ数メートルに達する二酸化
 炭素の氷(ドライアイス)の層をつくる。やがて、極に再び
 日光が当たる季節になると二酸化炭素の氷は昇華して、極地方
 に吹き付ける400km/hに達する強い風が発生する。

っっっと、春の嵐が随分強いようで。埃っぽくてかなわなそうです。